Nicoleとの戦い 1次女 Nicole が、おかしいなって思い始めたのは、 1歳半を過ぎた頃からでした。 まず、言葉が殆ど出て来ない。 名前を呼んでも知らん顔をしている。 言葉が出てこないのは解っていても、 なんとなく意思の疎通みたいなものが、無かったんです。 周りの友達に相談するといつも、 “大丈夫だよ~。未だ早いし解らないわよ。 しゃべる時期が来たら、ちゃんとしゃべるように成るもんよ。” って、言われ続けて来ました。 そうよね、そういうものよね。って思いながらも、母親の感とでも言うのか、 心のどこかでは腑に落ちないで居ました。 Nicole の問題は、只言葉が遅いだけでなく、 物凄いかんしゃく持ちだったんです。 自分の思い通りにならないと、 “んー、んー、んー”って唸りながら、引っ繰り返ったり、 物を投げたりして,大暴れをするんです。 一度マンハッタンのバスの中で、その大かんしゃくが爆発して、 私は子供達と後部座席に座っていたのですが、 他のお客さん全員が、運転手の方へと移動してしまうほどの 大ひんしゅくを買ったこともありました。 そんなひどいかんしゃくを起こしても私は、 きっと言葉が話せないから、イライラしてかんしゃくを起こしてしまうんだわ。 って彼女を不憫に思い、暴れた時に押さえ付けたりはしたものの、 Nicoleに叩かれようが、蹴りを入れられようが、 彼女の怒りを受け止めて上げられるのは私しか居ないんだから. と、ぼろぼろになりながらも唯耐えに耐えるという、 今思えば、間違った愛情で対処をしていたのでした。 それが自分で自分の首を絞めていたとは、夢にも思わずにね。。。。 父が危篤で日本に里帰りをした時に、 私の母親、親戚達から “ちょっと変なんじゃないか?” “呼んでもこっちを見ないし、話もしないし、 耳でも聞こえないんじゃないか?” って次々に指摘を受け、益々不安が募っていきました。 ところがアメリカに帰って来るや否や、 第3の妊娠とロングアイランドへの引越しが決まり、 その問題はとりあえず保留になってしまいました。 ********************* 引越しが済み、隣近所の人達と交流を持ち始めた頃、 お向かいのお婆ちゃんがこう言うんです。 “Nicoleは何歳なの?” “2歳4ヶ月です。” “ちょっと言葉が遅いんじゃないの? 家のDanny(同居している彼女の孫)も言葉が遅かったから、 コミュニティーサービスに相談したのよ。 すると言葉の遅い子の為に学校があって、 そこへの授業料、送り迎え、ランチ代、何から何まで、 ニューヨーク州が負担してくれるっていう事を教えてもらってね、 早速連絡を取って担当者に孫をEvaluate(サービスが必要かどうか評価する) をしてもらったのよ。 Dannyは必要アリと診断を下されてその学校へ通い、 その恩恵を被って、今はこの通り何の問題も無く生活しているのよ。 貴方も是非、そこに連絡を取るべきよ!」 と、まるで私を説得するかのように、話してくれました。 言い終るや否や、お婆さんは家の中へ入って行き、 紙に電話番号を書いて持って来てくれました。 そしてその2,3日後、 学校の校庭までジェンと二コールを連れて散歩に行った時、 一人の白人女性が、明らかにAdopt(養子)と解るアジア系の子供2人を連れて、 先に来ていました。 彼女の名はLinda。 Lindaは私にニコニコして近寄って来て、 まるで私の心の中を読んだかのように、 「この子達は韓国から来たのよ。」 と言いながら、私の隣に座った。 そして色々と子供の話しをしていると、Lindaまでもが 「下の子(2歳)は言葉が遅いと思うのよ。 この間小児科医に相談したんだけど、全然埒が明かなくって、 専門家に相談しようかって思っているの。」 と、初対面の私にフランクに、事細かに話し始めたのです。 偶然だ~。。。って思いながら、Nicoleの事と州からのサービスの事を話すと、 彼女も“絶対直ぐに連絡を取るべきだ!”って真剣に言ってくれたのです。 彼女も彼女の子供の事で連絡を取ると言っていた。 家に帰って直ぐに旦那に相談をし、 専門の機関へ連絡をするつもりで居た所、 これまた偶然が重なったんです。 長男を妊娠中だった私は検診をする為に、 初めて引越し先の新しい産婦人科のオフィスへと行きました。 受付で書類に書き込みを済ませ、順番を待っていた時、 何気に受付の小窓の脇に目をやると、 綺麗に彩りされたパンフレットが目に留まりました。 一枚取って見てみると、何とそれは 州から認可を受けている3歳前の子供達を対象にした、 スペシャルエデュケーションのパンフレットだったのです! 家に帰って速攻で電話をしました。 電話に出た人は、Nicoleの年と状況を聞いて、 「言葉の遅れや、ひどいかんしゃくなどの悪い生活態度は、 3歳前に必要な処置を取らないと、 普通レベルにまで Catch up (追いつく)するのに、 とても時間がかかる事になってしまいます。 そして、5歳を過ぎてから始めたのでは、Catch up するのは、 非常に難しくなってしまいます。 未だ貴方のお子さんを診た訳ではありませんが、早く手を打ちましょう。」 って言って下さり、 その後はとんとん拍子で事が進んだのでした。 とにかく、Nicole が本当に彼らからの助けが必要なのか、 もしそうならば、 どの程度なのかをEvaluate(判断)する為に、 ニューヨーク州から派遣された 児童心理学 スピーチ 生活態度 の3つの分野の専門のセラピストが、我家の門をくぐったのでした。 Part 2 に続く |